建設業許可は法人のみならず個人事業主でも取得することが可能です。では個人の建設業許可取得の特徴やメリット・デメリットについてみていきましょう。

 

個人事業主が取得した許可はその方だけのものです

法人が許可を取得した場合、その許可は法人のもの。個人事業主が許可を取得した場合、その許可は個人のものです。当たり前のことのように思えますが、これが法人と個人事業主の非常に大きな違いです。

法人の場合は(許可の更新などをする必要がありますが)代表者の方が亡くなったりしても取得した許可が消えることはありません。反対に個人事業主の場合は許可を取得した方が亡くなったりした際に取得していた許可は消えてしまいます。また、個人事業主が法人化した際に許可を引き継ぐことはできません。法人になってから再び許可を取り直す必要があります。

 

個人事業主で許可を取得するメリット・デメリット

メリット

最大のメリットはやはり法人を設立せずに建設業を営むことができることです。法人を設立するとなると、法務局に登記しなければなりません。通常、登記をする場合には司法書士に依頼するため費用がかかります。

また、定款を作成して資本金を準備する必要もあります。費用面や手続面で、法人を設立する際には負担が大きいため、法人を設立すること自体がデメリットになる可能性があります。

その他には、法人の場合よりも個人の場合のほうが許可申請の際に提出する書類が少なく済む可能性が高いです。そのため、行政書士等の専門家に建設業許可の依頼をするときに費用を抑えることが可能です。

デメリット

個人事業主として建設業を営む場合の大きなデメリットは仕事が少なくなるかもしれないことです。下請けとして元請け業者から仕事を請け負う場合や発注者から仕事を受注する場合、元請け業者や発注者が大企業だと、個人とは取引が制限されていることが多く仕事がもらえない可能性があります。

また、最初に述べたように建設業許可を取得した個人が亡くなったりした場合、許可が消滅してしまいます。再び許可を取得するとなると費用や時間がかかってしまいます。のちに法人化した場合も再び許可を取得する必要がありますから、さらに費用や時間がかかります。

 

令和2年10月の法改正

法改正により建設業許可を取得した個人事業主が亡くなった場合、死亡から30日以内に申請すると建設業許可を相続することができるようになりました。これにより、個人事業主の親などが亡くなっても息子に建設業許可を承継させることができ、事業を引き続き行うことが可能となりました。