建設業を営むうえで不可欠な要素が「資金」です。建設業では支払いと入金のタイミングがずれることも多く、スムーズに事業を行っていくためにはある程度まとまった金銭が必要だといえます。ここでは、建設業者が融資を受けるうえでのポイントについて説明していきます

 

建設業特有の運転資金事情とは

建設業では、着工の段階で材料費や人件費などさまざまな出費が発生することから、ある程度まとまった運転資金を用意しておかなければいけません。まずは、工事を請け負ってから実際に工事代金を得るまでにかかる費用について確認してみましょう。

 

  • 建築資材などの材料費
  • 足場・設備・重機などの準備費用
  • 工事に携わる作業員などの人件費
  • 外部に一部工事や作業を依頼する際の外注費・下請費用 など

 

これら費用の立て替えは建設業者にとって大きな負担になります。入金のタイミングは建設工事によって異なり、着工時・中間時点・完成時点・完成後数ヶ月後時点などさまざまですので、建設業者は各工事についてそれぞれ運転資金計画を立てて受注する必要があるでしょう。

 

工期が延びたり追加工事の発注があったりする場合は、想定外の出費が発生する可能性も高いため、十分な資金的余裕を持つことがとても重要です。

 

建設業者が利用できる融資の種類

特に中小の建設業者にとって利用しやすいとされている融資を挙げていきましょう。創業時融資成長期の融資2種類をピックアップします。

 

創業時融資

個人事業主として建設会社を立ち上げたばかりの時期は、会社としての実績がまだないこともあり、融資を受けられる機会が限られてくるのが現状です。このような時期には、日本政策金融公庫信用保証協会に絞って資金調達を検討してみるといいでしょう。

 

【日本政策金融公庫】

  • 新創業融資制度
  • 新たに事業を始める人か事業を始めてから税務申告2期を終えていない人を対象として、3,000万円(うち運転資金として1,500万円)を上限として融資を受けることができます。

 

国の金融機関だけあって金利は低く抑えられている点が大きなメリットです。また、創業融資であるため、会社としての実績がなくても個人として十分な業界経験を有していれば審査で有利に働くともいわれています

 

【信用保証協会】

  • 創業関連保証
  • 現在事業を営んでいない個人でこの先1ヵ月以内に事業開始または2カ月以内に会社設立する人や創業5年未満の中小企業などを対象として、3,500万円を限度として融資を受けることができます。

 

保証料はかかりますが、無担保(保証人が必要になる場合がある)かつ低金利で融資してくれる点は大変心強いでしょう。創業5年以内であれば利用できる融資のため、これから力を付けていきたい事業者にはお勧めです

 

成長期融資

創業時期を経て事業が成長段階に入ってくると、実績を重要視する民間の金融機関からの融資も受けやすくなると言われています。成長期では工事の受注も増え資金繰りが重要課題となることが想定されますので、金融機関によるつなぎ融資や手形の活用も視野に入れてみましょう

 

【手形貸付】

借主が取引銀行宛ての約束手形を振り出すと、金融機関は利息分を差し引いた金額を借主に支払ってくれる仕組みを「手形貸付」といいます。融資期間は1年間ですので、借主へ1年以内に返済する必要がありますが、一時的な資金調達方法として重宝されています。

 

昨今では、手形取引を電子化した「でんさいという仕組みが主流になっているようです。「でんさい」を金融機関に担保として譲渡することで、商業手形の譲渡担保貸付と同様の借入が可能です。北海道では、北洋銀行・北海道銀行・信用金庫・信用組合・JAで取り扱いがありますので、詳しくは問い合わせてみるといいでしょう。

 

まとめ

建設業を始める創業期、徐々に実績を積み上げていく成長期など、会社のステージによって利用可能な融資も変わってきます。申請時に求められる条件や書類は変わってきますが、特に、事業計画書や収支内訳書、受注工事明細表など、事業の将来性や健全な収支を示すための資料は丁寧に作らなければいけません。できるだけ専門家に相談しながら資金調達を目指しましょう。

 

当事務所では、行政書士を窓口として、税理士や司法書士との連携のもと建設業に関するさまざまなご相談・ご依頼をお受けしております。無料相談もご用意しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。