建設業許可を持つ親が亡くなった場合、子は建設業許可を相続することができます。ここでは、建設業許可の相続認可における必要書類について説明していきます

 

建設業許可の相続要件

親が建設業許可を持つ事業主だった場合、その建設業許可は相続の対象となります。ただし、以下の条件を満たして所轄庁から認可を受けなければなりません

 

  • 建設業許可を持つ個人事業主の死亡から30日以内に相続認可の申請を済ませていること
  • 被相続人のすべての許可業種を相続する(引き継ぐ)こと

 

建設業許可とはいえ相続ですので、一部だけを引き継ぐことはできません。たとえば、被相続人が建築一式工事の許可と内装の許可を取得していた場合、いずれも引き継ぐことを前提として相続認可の申請ができることになります。いずれか一種類だけ引き継ぐということはできませんので注意しましょう。

 

相続人は、被相続人の地位を引き継ぎますので、建設業許可事業者としての権利および義務を持つことになります。したがって、被相続人が監督処分を受けていた場合はその事実、経営事項審査を受けていた場合はその結果も合わせて相続人が引き継ぎます。ただし、被相続人に対する刑罰については、対象が被相続人であることから、相続人には引き継がれません。

 

相続のための要件を満たしていること

相続人は、相続認可において以下の要件をすべて満たしていることが求められます

 

  • 建設業における取締役等の経験を5年以上または経営業務の管理責任者同等の経験を6年以上有している
  • 営業所ごとに常勤の専任技術者を設置している
  • 営業所の要件を満たしている
  • 500万円以上の財産的基礎を持つか同等の信用がある
  • 欠格要件に該当していない
  • 十分な誠実性が認められる
  • 社会保険等に加入している など

 

相続人が被相続人の事業を相続する場合、被相続人の建設業許可番号をそのまま使用することができます相続人がすでに建設業許可を得た業者である場合は、以後使用する許可番号を選択することが可能です

 

国土交通省資料による「相続の流れ」

国土交通省資料によれば、建設業者である被相続人からその地位を相続する場合の手続きについて、次のように記されています。

 

  1. 建設業者(被相続人かつ個人事業主)の死亡後30日以内に相続の認可を申請する(相続しない場合は廃業届を提出する)
  2. 許可行政庁が申請内容について審査する
  3. 許可行政庁から相続認可の結果が通知される

 

スムーズに手続きを行い認可を受けるためには、しっかりとした準備が必要です。相続人が要件を満たすかどうか、すべての相続人が相続認可について同意しているか、以下に述べる必要書類が揃っているかなど、できるだけ早い段階から対処することが大切だといえます。

 

相続認可申請の必要書類

相続認可の申請に必要な書類については、北海道ホームページが公開している資料が参考になります。

 

相続認可申請先

被相続人がどの許可行政庁から許可を受けていたかにより、申請先が変わります

 

  • 国土交通大臣の許可を受けていた場合:国土交通大臣に対して申請
  • 都道府県知事の許可を受けていた場合:都道府県知事(北海道の場合は北海道知事)に対して申請

 

なお、被相続人が許可を受けていた都道府県知事とは異なる都道府県知事の許可を相続人が受けている場合は、国土交通大臣への申請が必要になります。

 

必要書類

続柄を証する書類(戸籍謄本を提出)

相続認可申請書(様式第22号の10

営業所一覧表(別紙1

専任技術者一覧表(別紙2

 

【相続人が建設業許可を受けている場合は省略可】

工事経歴書(様式第2号)

直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)

納税証明書(事業税)

 

使用人数(様式第4号)

誓約書(様式第6号)

登記されていないことの証明書

身分証明書等

 

【相続人が建設業許可を受けており、直前の申請・届出から変更がない場合は省略可】

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号)

常勤役員等の略歴書(別紙)

常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2

常勤役員等の略歴書(別紙1

常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(別紙2

主要取引金融機関名(様式第20号の3

組織図

大臣認定書の写し

 

認可申請書の住所・生年月日に関する調書(様式第12号)

成年被後見人又は被保佐人に該当しないことを証明する登記事項証明書及び身分証明書

※該当する場合は、身分証明書に替えて医師の診断書を提出

 建設業法施行令3条使用人の一覧表(様式第11号)

建設業法施行令3条使用人の住所、生年月日等に関する調書(様式第13号) 

成年被後見人又は被保佐人に該当しないことを証明する登記事項証明書及び身分証明書

※該当する場合は、身分証明書に替えて医師の診断書を提出

 

登記事項証明書(履歴事項全部証明書)(商業登記簿謄本)

貸借対照表(様式第18号)

損益計算書(様式第19号)

営業の沿革(様式第20号)

所属建設業者団体(様式第20号の2

 社会保険に関する誓約書(様式第22号の11

相続人の同意書

(副本が入る大きさ)返信用封筒 ※返送先記載のうえ切手貼付

副本(2部) ※石狩振興局に送付する場合は1部

 

詳しくは北海道ホームページの一覧表または担当部署への確認を行い、漏れなく書類を用意しましょう。

 

まとめ

建設業許可を相続するためには、被相続人が亡くなってから30日以内に相続認可の申請を行わなければなりません。もし、期限内に申請が完了していなかった場合、いったん廃業届を出して新たに許可を取得する必要があります。

 

ただし、期限内に膨大な書類を用意するのは大変な労力を要しますし、自分の場合はどの書類が必要になるか確認することも簡単ではありません。そのようなときは、建設業許可申請手続きの経験豊富な当事務所までご連絡ください。無料相談をご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。