建設業許可申請を行う際、営業所に関する申告書類を提出しなければなりません。もし、事務所として利用している場所が賃貸物件である場合、どのように申請すればいいのでしょうか。ここでは、建設業許可申請における営業所の賃貸借契約書の注意点について説明していきます

 

常時建設工事の請負契約締結可能なのが「営業所」

国土交通省のホームページによれば、建設業許可における「営業所とは次の特徴を備えています。

  •  本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約締結可能な場所
  • 請負契約に関する指導監督を行うなど実質的な関与が認められる場所

社内の事務作業しか行わない場所や資材置き場などは、請負契約の締結の場所として見なされませんので、建設業法上の営業所には当たらないことを覚えておきましょう。もう少し詳しく定義した場合、営業所は次の機能も兼ね備えていることになります。

  •  経営業務の管理責任者や専任技術者が常勤する場所
  • 請負契約における事前見積もりを行う場所
  • 入札の権限を伴う場所

営業所は賃貸物件でもいいのか

自前の営業所を持つことができる大企業に対して、小規模事業者や個人事業主は代表者の個人名義で賃貸する物件を営業所としているところが多いかもしれません。建設業許可申請に際し、賃貸物件を営業所として申請することは可能ですが、注意したいポイントがありますのでおさえておきましょう。

 

1.賃貸借契約の名義人は誰か

賃貸物件を営業所として使用する場合、その名義は個人事業主なら代表者名義でもいいですが、法人の場合は会社名義でなくてはなりません。もし、社長個人の名義で物件を借りている場合は、別途書類が必要になりますので注意しましょう。また、個人事業主であっても、自宅の一部を営業所としている場合は登録書類が変わってきます

 

【必要書類】社長個人名義で営業所の賃貸契約を結んでいる場合

営業所としての使用許可を貸主から得たうえで法人名義の使用承諾書を用意するか、個人名義となっている営業所の賃貸借契約書を法人名義で作り直す必要があります。

 

【必要書類】個人事業主が自宅の一部を営業所として使用している場合

個人事業主本人が自宅の名義人である場合は登記事項証明書を用意する必要がありますが、家族名義の自宅を営業所として使用している場合は登記事項証明書と名義人(家族)による使用許諾書の両方を準備しなくてはなりません。

 

2.賃貸物件の使用目的が「住居」ではないか

賃貸物件を営業所として使用する場合、注意したいのが、賃貸借契約書における「物件の使用目的がどのように記載されているかという点です。

 

使用目的に「住居」と記載されているのであれば、物件の本来の使い方は生活の場と解釈できますから、営業所として使いたい場合は貸主に「営業所として使いたい」旨を申告し、使用許諾書を取り交わす必要が出てきます。使用許諾書があれば、当該物件を営業所として使用することを貸主が認めた証になりますので、賃貸物件を営業所として申告することも可能になります。

 

つまり、物件の使用目的がどうなっているかによって、事務所あるいは営業所としての使用可否あるいは建設業許可申請の際の営業所要件を満たすかどうかが変わってくるのです。

 

3.賃貸借期間は自動更新となっているか

営業所として使用している物件がある場合は、その賃貸借契約書を再確認してみましょう。注目すべきは賃貸借期間です。確認時点で有効期間内であれば特に問題はありませんが、できれば「自動更新」に関する取り決めを確認した方がいいかもしれません。

 

賃貸借契約書に契約の自動更新に関する条項が盛り込まれており、貸主・借主ともに異議がない場合は契約が自動更新される仕組みになっているようであれば、安定的に営業所として機能することが想定されるため、建設業許可の要件をクリアできることが期待できるでしょう。逆に自動更新に関する条項がない場合は、契約期間終了をもって営業所として使用できなくなる可能性を含むことから、要件を満たすことができない恐れがあります。

 

まとめ

賃貸物件を営業所として使用している(使用する)際は、建設業許可申請がスムーズに受け付けられるよう、3つのポイントをよく確認した上で条件を整えることが求められます。

 

当事務所は、建設業許可申請に関するご相談・ご依頼を数多くお受けしており経験も十分です。賃貸物件を営業所として使用できるのか、確認作業に不安がある場合や建設業許可申請そのものが難解でわかりにくいと感じる場合は、ぜひ無料相談をご利用いただき、お気軽にお問い合わせください。