総額500万円未満の軽微な工事であれば、建設業許可がなくても受注できることは確かです。しかし、定められた条件に該当しない工事を請け負ってしまった場合、建設業法違反や刑事罰などの対象となってしまうこともあります。ここでは、建設業法に違反してしまった場合どのような罰則を受けるか説明していきます

 

必ず気を付けたい建設業法の定め

建設業を営む事業者は、建設業法に基づき「総額500万円未満の軽微な工事」を除いて必ず建設業許可を取得していなければなりません

 

軽微な工事の範囲を理解すること

軽微な工事」であれば建設業許可を必要としません。軽微な工事とは、以下に該当する総額500万円未満の工事を指しています。

 

1】工事1件の請負代金の額が1,500万円に満たない工事または延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事

※建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものを「木造」という

※住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するものを「住宅」という

2】工事1件の請負代金が500万円に満たない工事

 

上記の条件に当てはまる工事であれば、理論上、無許可でも営業することが可能ですが、税抜き500万円分の工事を受注してしまったり1つの工事を分割して1件当たりの金額を抑えたりした場合、結果として「500万円以上の工事」を引き受けたことになります。当然ながらこれらの状態は建設業法違反となりますので十分注意しましょう。

 

許可を受けた業種以外は無許可扱いとなること

建設業許可は29種類に細分化されており、各分野の工事を行ううえでそれぞれの許可を取得する必要があります。建築一式工事許可とはすべての工事を請け負えるという意味ではありませんし、許可を持たない専門工事を請け負えば無許可扱いとなってしまいます。したがって、自社の事業規模や将来的な成長を見据えながら、適宜、必要な許可を取得して新たな工事を請け負っていくことが求められます。

 

建築業法に違反した場合の罰則

軽微な工事を除き、必要な建設業許可を取得しない(無許可)まま専門工事を行った場合、建設業法違反として罰則を受けることになります。建設業法第47条には5つの違反規定が示されており、これらに該当する者は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処されると明記しています。このほかにも罰則規定がありますので、慎重に確認を重ね法を犯すことのないよう注意しましょう。

 

3年以下の懲役または300万円以下の罰金

  • 必要な許可を得ず建設業を営んだとき
  • 特定建設業者の許可を持たず法定金額以上の下請契約を結び営業したとき
  • 営業停止処分を受けたにも関わらず営業を続けたとき
  • 営業停止処分を受けたにも関わらずあらたに営業を行ったとき
  • 虚偽あるいは不正な手段で許可を受けたとき

 

6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金

  • 許可申請書や添付書類、変更届などを行った際に記載不備あるいは虚偽の記載があったとき
  • 建設業の不許可事由が発生したにも関わらず届け出なかったとき

 

100万円以下の罰金

  • 国土交通大臣または北海道知事(都道府県知事)による検査・立ち入りを拒否したとき
  • 適切に許可を取得した下請業者に施工させなかったとき
  • 主任技術者および管理技術者を建設現場に設置しなかったとき
  • 建設業許可を取り消されたにも関わらず発注者にこれを通知しなかったとき
  • 経営状況分析に必要な資料を提出しない、または虚偽の資料を提出したとき

 

100万円以下の過料

  • 廃業届の提出を怠ったとき
  • 建設現場に適切な標識を掲示しなかったとき
  • 帳簿未作成・帳簿の虚偽事項記載があったとき

 

監督処分

すでに述べた罰則以外にも、行政機関から監督処分を受けることがあります。

 

指示

建設業法に違反した場合、監督行政庁から受ける自主的改善の指示

 

営業停止

指示処分に従わなかった場合、次の段階として受ける可能性がある営業停止処分

※なお、独占禁止法や刑法、一括下請禁止規定違反などがあった場合は、指示処分なく直接営業停止処分を受けることがあります。

 

許可取り消し

営業停止処分に従わない場合や不正に建設業許可を取得した場合、当該建設業許可の取り消し

※なお、特に悪質性があると判断された場合は、指示処分・営業停止処分なく直接許可取り消しとなることがあります。

 

まとめ

建設業法を守り適正な許可取得・営業を行わなければ、然るべき罰則の適用あるいは行政処分を受けることになってしまいます。意図的に法律違反をしている場合はもちろんのこと、知らずに違反状態となっていた場合も罰せられますので、大臣許可の場合は北海道開発局に、北海道知事許可の場合は各振興局に対し、適宜確認を行ったり建設業法を読み込んだりするなどして健全経営を目指すことが大切です。

 

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