建設業許可を取得した後も、建設業法にしたがい事業年度終了届(決算変更届)を毎年提出しなければなりません。ここでは、事業年度終了届(決算変更届)の必要書類について説明していきます

 

毎年期限内に提出すべき事業年度終了届(決算変更届)

事業者は、建設業許可を取得し実際に工事を請け負って利益を得ていくことになります。毎年の売上や経費、利益の額が同一とは限りませんので、事業年度ごとに事業年度終了届(決算変更届)を提出し、過去1年間の決算を行う必要があるのです

 

建設業法第11条の2でも、「許可を得た建設業者は、毎事業年度終了時における必要書類を4ヶ月以内に国土交通大臣または都道府県知事に提出しなければならない」と記されており、届出が建設業者の義務となっていることがわかります。

 

事業年度の数え方

事業年度の数え方は法人か個人事業主かによって変わります。法人の場合は任意で事業年度を設定することができますが、個人事業主は1月から12月までを事業年度とすることになっています

 

したがって、3月を決算月としている法人であれば事業年度終了届の提出期限は4ヶ月後の7月末となり、個人事業主であれば決算月が12月であることから、事業年度終了届の提出期限は4月末ということになるのです。なお、建設業許可更新申請の際、過去5期分の事業年度終了届の副本を提出することになっているので、過去届出分の書類は大切に保管しておきましょう

 

期限内に届け出なかった場合の懲罰

建設業法第50条では、事業年度終了届出書類に虚偽の記載をしたり届け出なかったりした場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処するとしています。懲罰を受けることのないよう、必ず事業年度末には届出を行わなければなりません。

 

事業年度終了届(決算変更届)の必要書類と添付書類

北海道開発局ホームページに記載の資料によれば、事業年度終了届(決算変更届)の必要書類・添付書類は次のとおりです。

 

  • 変更届出書(建設業許可事務ガイドラインで定めるもの)※別紙8様式
  • 工事経歴書 ※様式第2号
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額 ※様式第3号
  • 使用人数 ※様式第4号(使用人数が変わらない場合は不要)
  • 貸借対照表 ※様式第15号
  • 損益計算書 ※様式第16号
  • 株主資本等変動計算書 ※様式第17号
  • 注記表 ※様式第17号の2
  • 事業報告書 ※任意様式
  • 付属明細表 ※様式第17号の3(資本金1億円超または負債合計200億円以上の場合のみ)
  • 法人税の納税証明書(その1・納税額等証明用)

工事経歴書の書き方

北海道開発局ホームページには、工事経歴書の記載例が掲載されています。各欄についてどのように記載すればいいか読み解いていきましょう。

 

  1. 【建設工事の種類】許可を受けた業種の名称を記入(例:建築一式工事など)
  2. 【税込・税抜】該当する方に〇をつける
  3. 【注文者】請け負った工事契約ごとにその契約相手の名称や商号を記入
  4. 【元請又は下請の別】施主から直接受注した工事の場合は「元請」、元請業者から請け負った工事の場合は「下請」と記入
  5. 【JVの別】JV(ジョイントベンチャー:共同企業体)として工事を行った場合はJVと記入
  6. 【工事名】工事請負契約書を参考に施工箇所および工事内容を具体的に記入(例:〇〇ビルの基礎工事など)
  7. 【工事現場のある都道府県及び市区町村名】工事現場がある場所を記入(例:北海道札幌市など)
  8. 【配置技術者「氏名」】建設業法に基づき各工事に配置された技術者の名前を記入
  9. 【請負代金の額】千円単位で記入(進行中の工事については完成工事高を括弧書きで付記)
  10. 【PC・法面処理・銅構造物の別】該当するものに〇を付け金額を記載(土木一式工事・とび・大工・コンクリート工事・銅構造物工事の場合)
  11. 【小計】工事件数と請負代金額を記載
  12. 【合計】許可を受けた業種ごとの完成工事件数と請負代金合計額を記入
  13. 【うち元請工事】小計額および合計額のうち元請工事の請負代金額を記入

 

まとめ

事業年度終了届(決算変更届)の提出は、自社の健全経営管理および建設業許可更新のために非常に重要な義務となります。必ず期限内に届出を済ませるよう、準備を怠らず正しく手続きを行いましょう。

 

自分自身で届出を出すことも可能ですが、日々の業務をこなしながら複雑な書類を記入したり各種書類を揃えたりするのはかなりの労力を要します。事業年度終了届(決算変更届)に関してお不安な方やお困りの方は、ぜひ当事務所の無料相談をご利用いただき、お気軽にお問い合わせください。