建設業と宅建業は相性がいいといわれています。家の建築は建設業の業務の一部であり、完成した住宅を自社で販売すること自体にメリットがあるからだといえます。ここでは、宅建業と建設業を兼業するメリットや注意すべきポイントについて説明していきます

 

建設業者が宅建業免許を取るメリット

建設業者が自社で建築した住宅を直接販売することができれば、不動産売買部門を他社に委託せずに済むため、利益面で大きなメリットを享受することが可能です。そのような背景から、建設業者が宅建士を雇い宅建業免許を取得する・建設業者が自ら宅建士の資格を取得し宅建業免許を取得する動きがみられるようになりました

 

仮に、建設業者が自社に不動産部門を立ち上げようとした場合、まずは宅地建物取引士を確保する必要があります。宅地建物取引士を常勤スタッフとして採用したら、国土交通大臣または都道府県知事から宅建業の免許を受けなければなりません

 

なお、宅建業を営むためには宅地建物取引士の常勤が必要であり、これによって可能になる業務は以下のとおりです。

 

宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。

※宅地建物取引業法第二条二を参照

 

具体的には、他社所有の不動産について、その売買・交換・賃貸契約を媒介することが主な業務となります。したがって、仮に建設業と宅建業を兼業した場合、

  • 自社で建物を建築する
  • 完成した建物を自社で販売する

ということが可能になるので、建設業と宅建業のいずれかに限った業態に比べると、事業としての可能性は大きく膨らむといえるでしょう。

 

建設業と宅建業の重要要件

建設業と宅建業を営むうえで最も注意が必要なのは、いわゆる「人の要件」と「事務所の要件」だとされています。

 

人の要件

「人の要件」とは、建設業許可については経営業務の管理責任者や専任技術者の選任、宅建業においては宅地建物取引士の選任が必要になるということで、いずれの専門職も常勤であることが求められます。ただし、同じ会社の同じ営業所内であることを条件に、建設業と宅建業の「人の要件」は兼務することができます

 

したがって、条件を満たしていれば、同じ人物が経営業務管理責任者と宅地建物取引士を兼任することが可能になります。逆に、同じ会社であっても建設業の事務所と宅建業の店舗を別に設置している場合は兼務ができませんので注意しましょう。

 

事務所の要件

建設業許可申請と宅建業免許申請のいずれにおいても、その手続き上、事務所内の写真を添付して提出する必要があります。特に、同じ事務所内で建設業と宅建業を兼務する場合は、目的の異なる顧客・業者が出入りすることから、事務所の作り方にも工夫が求められるでしょう

 

たとえば、事務所内に仕切りを設けて「建設業のスペース」と「宅建業のスペース」を明確に別にし、人の出入り口も別にする方法が考えられます。レイアウト次第で、同じ事務所を使って建設業と宅建業の申請を行うことが可能になるので、どのような形で事務所を使うかあらかじめ描いておくことが重要です。

 

まとめ

建設業と宅建業の兼業は昨今特に増えてきている印象があります。宅建士がいることで建設業としての事業の可能性が膨らみますので、もともと建設業として運営していた会社のスタッフが宅地建物取引士の資格を取り不動産業部門を独立させる、といったケースが多く見られる傾向にあります。

 

当事務所では、会社設立だけに限らず、建設業許可および宅建業免許申請の取得サポートも行っています。特に宅建業免許申請に関しては、行政と保証協会の両方に対する手続きを同時に勧める必要があることから、すでに建設業を営んでいる方に代わってお手伝いさせていただきます。

 

建設業と宅建業を兼業できると、その分業務内容は増えてしまいますが、専門要員を雇用し不動産部門を強化することで、結果として会社の利益に貢献することが考えられます。手続き面はもちろん、こういった兼業の仕組みなどについてもご相談をお受けしておりますので、ぜひお気軽に当事務所までお問い合わせください