国や自治体が発注する工事を公共工事といいますが、公共工事を受注するためには建設業許可を取っていなければいけません。ここでは、建設業許可を持つ企業が公共工事の発注を得るまでの流れについて説明していきます

 

公共工事受注のための要件

建設業法の第27条第23項によれば、公共工事を受注するためには、事業者の経営状況や経営規模、技術力などについて経営事項審査を受け一定の評価を受ける必要があるとされています。公共工事への入札は簡単に参加できるものではなく、国土交通省令の定めに基づく審査に通らなければなりません。

 

また、この他にも、次に該当する場合は公共工事を受注することができませんので注意しましょう。

 

税金を滞納している場合

入札参加時には納税証明書が求められるため、税金を滞納している場合は参加できないことになります。法人税や消費税といった国税はもちろん、法人市民税などの地方税について、滞納している事業者は入札参加の対象外となります。

 

建設業法の欠格要件に該当する場合

建設業法第8条に基づき、以下の欠格要件に該当する場合は公共工事の入札に参加することができません。

 

  • 破産者で復権を得ないもの
  • 一般建設業の許可または特定建設業の許可を取り消され、その取消の日から5年を経過しない者
  • 営業の停止を銘ぜられ、その停止期間が経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

 

上記を含め14項目にわたる欠格要件がありますので、1つひとつ目を通して慎重に確認することが求められます。

 

公共工事受注の流れ

建設業許可を持つ事業者が公共工事を受注するまでの流れについて説明します。

 

1.建設業許可を取得する

民間工事と違い、公共工事はその規模の大小を問わず、必ず建設業許可を取得していることが受注の前提条件となります。北海道の場合は北海道知事による許可を得る必要がありますが、最低でも1ヶ月以上かかることを想定しておきましょう。国土交通大臣許可を得るまでの期間はさらに長く、およそ3ヶ月から4ヶ月を要します。

 

2.経営事項審査(経審)の申請を行う

決算終了後に毎年受けなければならないのが経営事項審査(通称:経審)です。経審では決算書からその事業者の経営状況を評価し、点数に換算してランク付けを行います。

 

経審の審査を受けるためには、決算変更届や経営事項審査、経営状況分析の3つについて申請を行う必要がありますが、建設業許可取得後間もない場合は十分な実績を残せていないことから、点数が低くなる傾向がみられます。

 

3.入札参加資格審査申請を行う

北海道の場合は、道が発注する公共工事への競争入札に際し、事前に道へ申請し入札参加資格審査を受けなければなりません。申請書類については北海道ホームページで確認することができますが、多岐に渡る書類を必要とするため、漏れのないよう慎重に準備を進めることが大切です。

 

なお、申請書類は原則として郵送提出となり、許可業者の種別によって提出先が以下の通り変わります。

 

道内事業者(大臣許可業者を除く)

主たる営業所又は本社の所在地を所管する(総合)振興局総務課 主査(事業管理)

札幌市に主たる営業所または本社を置いている場合は、石狩振興局総務課主査(事業管理)が提出先です

道外業者および道内大臣許可業者

北海道庁建設部建設政策局建設管理課工事管理係

 

4.入札の種類を確認し参加する

必要な手続きを経て入札参加資格を得ることができたら、以下の入札に参加することができます。それぞれの違いを理解し、希望する事業への入札に参加しましょう。

 

一般競争入札

一般公開された入札情報に対し、参加者が競争して事業獲得を目指します。北海道など発注元による入札基準がありますので、事前によく確認して入札に参加しましょう。

 

指名競争入札

発注者が入札有資格者名簿から入札参加者を選定し、競争のうえ契約者を決定するやり方です。次のような場合に指名競争入札が行われることが多いとされています。

 

  • 競争企業が少なく一般競争入札に適していない場合
  • 事業の性質上、一般競争入札に適していない場合
  • 談合や反社会勢力など不誠実な業者の参加を避けたい場合 など

 

随意契約

一般的に公共事業は入札形式を採りますが、発注者が任意で選定した業者と契約を結ぶことがあります。これを随時契約といい、請負金額が少額だったり手続きが簡素だったりする点が特徴的です。

 

まとめ

建設業許可を取得することで公共事業の入札にも参加できるようになり、仕事の幅が大きく広がります。しかし、会社設立手続きだけでも大変なのに建設業許可申請まで手が回らない、経審の仕組みや審査のための必要書類がわかりにくいなど、事業者としての困り事があるのも事実でしょう。

 

当事務所では、建設業許可申請手続きはもちろん、北海道で申請を行う場合の注意点にも配慮したサポートを行っています。建設業許可を取得して公共事業の入札に参加したいがご不安を抱えている場合は、ぜひ無料相談をご利用ください