国や地方自治体から公共工事を受注したい事業者にとって、経営事項審査は手間と労力がかかるステップかもしれません。ここでは、経営事項審査を受けるメリットとデメリットについて説明していきます

 

経営事項審査で事業者のポテンシャルを数値化

経営事項審査は通称「経審」とよばれる制度で、公共工事の入札に伴う参加事業者の選定指標になっています。建設業許可を取得し財務諸表などの各種資料を提出しなければ経営事項審査を受けることができませんので、入札に参加しようとする事業者にとっては大変重要なステップであるといえます。

 

具体的には、国土交通大臣が定めた次の項目について審査を行うこととなっています。

  1. 経営規模
  2. 経営状況
  3. 技術力
  4. その他審査項目(社会性など)

特に「経営状況」の分析は、提出された財務諸表などに記載されている勘定科目などの金額をベースに評価数値を算出しているなど、審査が厳格に行われていることがわかります。

 

経審の結果は「一般財団法人建設業情報管理センター(CIIC)」のホームページ上に公開されており、誰でも閲覧可能となっています。審査結果を公開することは手続きや審査の透明性を担保することに繋がっており、また発注機関はこれら審査結果を参考材料として客観的・主観的両側面から事業者を評価し、入札参加事業者としての順位付けやランク付けに役立てています。

 

経営事項審査を受けるメリットとデメリット

経営事項審査を受ける事業者は、そのメリットデメリットをきちんと理解したうえで評価を受けることがとても大切です。

 

経営事項審査を受けるメリット

経営事項審査を受けるメリットについてみていきましょう。

 

公共工事を受注できる

経営事項審査は、公共工事受注のために欠かせない要素です。きちんと評価してもらうことができれば公共工事の入札に参加できる可能性が高くなり、安定した工事を獲得できる大きなチャンスとなります

 

客観的な数値評価により自社の現状把握に役立つ

経営事項審査の審査項目や審査方法は統一されており、そこから算出される評価点数も全国共通でとてもわかりやすい仕組みになっています。全国各地の事業者の数値と比較することで、自社の経営状況を客観的に理解しやすく、改善点なども見つけやすいといえます。自社を見直す意味でも非常に良い機会となるでしょう。

 

公共工事ならではの大規模工事を受注できる

公共工事は国や自治体が発注する工事であり、その多くがインフラ整備などの大規模工事です。民間規模の工事を丁寧にこなしていくことも大切ですが、大きな工事を獲得し業務に携わることで十分な利益を確保し安定した経営を可能にします。

 

経審を受けることにより評価が高まる

経営事項審査では対象事業者に関する各項目を数値で評価します。同業他社との評価差は数値で明確に表れますので、評価が良いほど事業者としての信頼性が高くなることが期待できます。評価の高い事業者は仕事を受注しやすいため、実績が上がりやすくなる点は大きなメリットだといえます。

 

公共工事なら貸し倒れの心配がなくなる

民間事業者同士の受発注の場合、工事をスタートさせても貸し倒れになるリスクが皆無ではありません。しかし、経営事項審査を受け公共工事を受注することができれば、国や自治体が発注元であることから貸し倒れの心配がなく、安心して工事に臨むことができます

 

経営事項審査を受けるデメリット

経営事項審査を受けるうえでのデメリットについても理解しておきましょう。

 

経営事項審査は手間と労力がかかる

経営事項審査を受けるためには、決算終了後に財務諸表ほか必要書類を集めて手続きする必要があります。通常業務をこなしながら手間と労力を要する手続きを進めることはとても大変です

 

北海道の場合は、次の書類を振興局および登録経営状況分析期間に提出し申請を行います。

  1. 決算終了後4ヶ月以内に、振興局決算報告書を提出
  2. 登録経営状況分析機関経営状況分析の申請
  3. 振興局に対し経営規模等評価申請総合評定値請求

 

申請費用がかかる

経営事項審査を受けるためには、経営状況分析申請・経営規模評価申請・総合評定値の請求それぞれについて費用がかかります

 

【経営状況分析申請】

北海道経営情報センターの場合:13,500

 

【経営規模等評価申請】

石狩振興局の公開資料参照:業種により10,400円~74,800

※北海道収入証紙で納付

 

【総合評定値請求】

石狩振興局の公開資料参照:業種により600円~6,200

※北海道収入証紙で納付

 

まとめ

経営事項審査を受けるためには、細かく指定された必要書類を揃え、漏れのないよう正しく記入し、手数料を納めて結果を待つ必要があります。

 

当事務所は、これまで建設業許可・建設業決算・経営事項審査などの建設関連業務を数多くお手伝いしてきました。経営事項審査の仕組みがよくわからない、通常業務をこなしながらの審査手続きが難しいなど、ご不安やご不明点がありましたら、当事務所の無料相談をぜひご利用ください。