経営事項審査の手続きを自分ですることができれば、専門家への依頼費用を節約できるでしょうしかし、実際には、度重なる修正が必要になったり時間が想像以上にかかったりすることが多いといえます。ここでは、経営事項審査を自分で行うことは可能なのか説明していきます。
経営事項審査を自分でやる流れ
法務局や自治体などでは、経営事項審査の手続きの流れや必要書類、審査の仕組みなどについて情報が公開されています。これらの情報をくまなく確認し慎重に手続きすれば、自分の力で経営事項審査を行うことは不可能ではないでしょう。
ただし、経営事項審査の手続きを受けるためには、決して簡単な内容ではない手引きを読み込んだり必要書類を一点ずつ確認したりしなければならないのです。修正が必要になることを踏まえても、相応の時間と労力がかかることは想像に難くありません。
(例)自分で経営状況分析申請を行う場合
経営事項審査に不可欠な経営状況分析申請の流れを整理してみましょう。
道内外の経営状況分析機関の選択
経営状況分析申請は国土交通大臣の登録を受けた分析機関に対して行います。北海道では北海道経営情報センターがありますが、特に道内機関に申請しなければならないということはないため、任意で選択しましょう。国土交通省では登録経営状況分析機関の一覧が公開されていますので、これを参考にするといいでしょう。
財務諸表の作成
財務諸表には、申請対象業種に係る次の費目を計上します。
- 売上高
- 売上原価
- 売掛金
- 買掛金
- 流動資産
- 固定資産
- 流動負債
- 固定負債
- 営業利益
- 経常利益 など
登録経営状況分析機関はこれらの数値から、企業の収益性分析、安全性分析、生産性分析、効率性分析を判断していくのです。
チェックシートで申請前確認
北海道の経営情報分析センターでは、「経営状況分析申請前のチェックシート」を公開しています。このチェックシートをダウンロードしてよく確認を行いましょう。
オンライン申請
チェックシートによる確認で問題がないことがわかったら、オンライン申請を行います。申請内容が経営状況分析センターに届いたら、分析手数料(7,700円)および必要書類について案内されます。また、審査終了後、結果通知書が送られてきます。
以上が経営状況分析申請の大きな流れです。経営状況分析が終わったら、続いて北海道各振興局に対し経営規模等評価の申請・総合評定値の請求を行うことになります(料金は11,000円から)。
経営状況分析申請を行うだけでも、数多くの書類が必要になり不備のない記載が求められます。実際問題として、申請書や財務諸表への記載事項に不備が見つかるケースは少なくないため、自分で手続きを行う場合は十分な時間的余裕を持つことをお勧めします。
自分で経営事項審査申請を行う際の注意点
自力で経営事項審査申請を行うことはできますが、前述のとおり、書類収集や書類記載事項不備などを原因として躓きやすいのが現状です。自力で手続きを行う際の注意事項として、改めて躓くポイントを整理してみましょう。
必要書類の準備に手間と労力を要する
経営事項審査に必要な書類は個人・法人の種別、また行政書士など専門家に申請代行依頼をしているかどうかによっても異なります。
【経営状況分析申請】
申請書および財務諸表など9種類前後
【経営規模等評価申請書・総合評定値請求】
申請書および工事種類別完成工事高、技術職員名簿など23区分30種類前後
経営事項審査全体では数十種類もの書類を扱うことになり、各書類について正しい記載が求められることから、手間だけではなく慎重な記入に時間を割かれることが想定されます。
記入済み申請書の修正が負担になる
法務局や北海道のホームページでは申請書のダウンロードが可能ですし、北海道ホームページには各種書類の記入例についても掲載されていますので、参考資料はきちんと提供されているといえます。
しかし、記載事項は細部にわたって設けられており、申請者としても審査に通すためにはどう書くべきかわからないことも多いでしょう。いざ書類を提出してみても、修正を求められ再提出になる、ということも珍しくはないのです。自分で経営事項審査の申請を行うこと自体は不可能ではありませんが、その後のスムーズな手続きのためにも、専門家への相談・依頼も検討してみましょう。
まとめ
北海道の建設業経営情報分析センターでは、審査をスムーズに進めるためのポイントとして、「決算書類の作成は税理士に依頼」「内容を理解できる方による申請」などを勧めています。重要書類である決算書や財務諸表の作成に問題が見つからないよう、経営事項審査を理解できる方によるスムーズな手続きを実現できるからです。
当事務所では、建築業許可申請や経営事項審査の手続きを数多く扱っております。丁寧にお話を伺いながら、ご希望に応じてご相談者様に合ったサポートをご提案することも可能です。無料相談をご用意しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。